「発達障害の自分には、向いている仕事なんてない」「職場に馴染めず、何度も転職してしまった」——そんな悩みを抱えている方は少なくありません。
発達障害は決して“甘え”ではなく、仕事の向き・不向きに大きな影響を与える特性です。
ですが、自分に合った働き方を見つけることで、誰でも自分らしく働くことは可能です。
この記事では、発達障害を公表している芸能人の事例を交えながら、特性に合った働き方のヒントをお伝えします。
発達障害で「仕事がつらい」と感じる理由
発達障害を持つ人は、「仕事がつらい」「合わない」と感じるシーンが多くあります。
ここでは、仕事がつらいと感じる理由について、詳しく解説します。
- 特性によるミスマッチが起きやすい
- 人間関係のトラブルでストレスを抱えやすい
- ミスが原因で自己肯定感が下がる
特性によるミスマッチが起きやすい
発達障害を持つ人の多くは、一般的な職場の「当たり前」と、自分の特性がかみ合わずに悩んでいます。
たとえばADHDの人は、集中力が続きにくかったり、思いつきで行動してしまったりと、業務の効率や正確さに影響が出やすい傾向があります。
ASDの人は、曖昧な指示が苦手だったり、状況の変化に対応しづらかったりして、周囲とのズレを感じやすいものです。
また、これらの特性を併発しているケースや、学習障害(LD)で読み書きに困難がある場合も、職場でのパフォーマンスに大きな影響が出ます。
努力しても成果につながらない経験が、「自分は仕事に向いていない」という思い込みを生みがちです。
人間関係のトラブルでストレスを抱えやすい
発達障害を持つ人は、対人関係においてトラブルを抱えやすい傾向があります。
暗黙のルールや空気を読むことが苦手で、職場の人間関係で誤解されたり、距離を置かれてしまったりすることも少なくありません。
些細なすれ違いが、上司や同僚との不信感を生み、結果として孤立してしまうケースもあります。
特に、指示をうまくくみ取れなかったり、雑談に加われなかったりすることで「協調性がない」と誤解され、評価が下がることも。
こうした人間関係のストレスが、仕事そのものへの不安感や苦手意識につながるのです。
ミスが原因で自己肯定感が下がる
発達障害の特性によってミスが起こりやすくなると、周囲からの叱責や評価の低下を受け、自信を失ってしまうことがあります。
たとえば報連相が苦手だったり、細かい作業で注意力が続かなかったりすることで、業務上のミスが目立ちやすくなります。
その結果、「また怒られる」「自分は使えない」と自己肯定感がどんどん下がっていき、ますます本来の力を発揮できなくなるという悪循環に陥ることも。
発達障害のある人にとって、ミスは単なる業務上の問題ではなく、心の負担として積み重なっていくものなのです。
発達障害を公表している芸能人5選
「発達障害=仕事ができない」と思い込んでしまう人もいますが、実際にはその特性を活かして活躍している人も数多く存在します。
特に、芸能界のような自由度の高い環境では、発達障害の個性が武器になることもあります。
ここでは、自身の発達障害を公表しながらも、それぞれの分野で才能を発揮している5人の芸能人をご紹介します。
彼らの生き方には、向いている環境を選び、自分の強みを活かすヒントが詰まっています。
- 黒柳徹子さん(ADHD・LD)
- 米津玄師さん(ASD)
- ミッツ・マングローブさん(LD)
- 小島慶子さん(ADHD)
- エマ・ワトソンさん(ADHD)
黒柳徹子さん(ADHD・LD)
テレビで活躍する黒柳徹子さんは、ADHDと学習障害の傾向があったことを公表しています。
小学生の頃には、授業中に筆箱を100回も開け閉めする、鳥に話しかけるなど、独特な行動が目立っていたといいます。
また、読み書きにも苦手意識があり、当時は「問題児」として扱われたこともあるそう。
しかし、周囲の支援や自分の興味に合った環境に進んだことで、持ち前の感性や表現力を存分に発揮。
女優、司会者、エッセイストとして長年にわたり第一線で活躍を続けています。
彼女の姿は、「苦手を責めるよりも、得意を伸ばす」大切さを教えてくれます。
米津玄師さん(ASD)
独特の世界観と圧倒的な音楽センスで知られる米津玄師さんは、自身がASD(自閉スペクトラム症)であることを公表しています。
幼少期から他人との会話が苦手で、人付き合いに苦しんでいたそうですが、それと同時に、強いこだわりや深い集中力といったASD特有の特性を音楽やアートの世界で昇華させてきました。
人とのコミュニケーションに難しさを感じながらも、自分の世界を表現することに全力を注いだ結果、唯一無二のアーティストとして成功。
自分の「苦手」を受け入れ、「得意」に集中するスタンスは、多くの人にとって参考になるはずです。
ミッツ・マングローブさん(LD)
タレントやコラムニストとして多彩に活躍しているミッツ・マングローブさんは、学習障害(LD)を公表しています。
文字を読むのが極端に遅かったり、ノートをとるのが苦手だったりという困難を抱えながらも、それを補う強い観察力や語彙力を活かして、独特の語り口で人気を集めています。
本人は、「頭が悪いんじゃなくて、頭の使い方が違うだけ」と語っており、その考え方には多くの共感が寄せられました。
ミッツさんのように、自分の「やりづらさ」を理解し、それに合う表現方法を見つけることができれば、誰でも活躍の場を持つことができるのです。
小島慶子さん(ADHD)
元TBSアナウンサーで、現在はコメンテーターや作家として活躍する小島慶子さんは、40代に入ってからADHDの診断を受けたことを公表しています。
若い頃から「空気が読めない」「注意がそれる」といったことで生きづらさを感じており、自分自身を責め続けていたといいます。
しかし診断をきっかけに、これまでの苦しさが特性に起因するものだと理解。
自身の経験を発信しながら、発達障害に対する偏見をなくす活動にも取り組んでいます。
診断は「ラベル」ではなく、「生き方を見つけるヒント」であることを、小島さんは体現しています。
エマ・ワトソンさん(ADHD)
『ハリー・ポッター』シリーズのハーマイオニー役で世界的に知られる女優、エマ・ワトソンさんも、ADHDを抱えていることを明かしています。
幼少期から多動傾向があり、集中力の維持に苦労していたそうですが、適切な支援や薬の処方を受けながら、学業と俳優業の両立を実現しました。
知性とエネルギッシュさを武器に、女優業だけでなく、国連親善大使としての社会活動にも精力的に取り組んでいます。
ADHDのエネルギーをポジティブな方向に活かせば、可能性は大きく広がるという好例です。
芸能界のように「強みを活かす」働き方は、誰でもできる
芸能人のような特別な職業に限らず、「強みを活かす働き方」は誰にでも可能です。
たとえば、一人で黙々と作業できるライターやプログラマー、接客をしなくていい工場作業、在宅ワークなどは、発達障害の特性と相性が良いこともあります。
また、フリーランスや自営業であれば、自分のペースで働ける自由さも得られます。
「普通の働き方」からはみ出してしまっても、それはあなたの個性を活かすチャンス。
無理に枠にはまらず、自分にとっての「ちょうどいい働き方」を見つけることが大切です。
まとめ|「向いていない場所」ではなく「向いている仕事」を探そう
「発達障害だから働けない」と感じている人にこそ伝えたいのは、向いていない場所で無理をする必要はないということ。
芸能人たちのように、自分の特性を理解し、活かせる場所を見つけることで、仕事のストレスはぐっと減ります。
頑張らなくても「できる」ことに目を向ければ、働くことはもっと楽になります。
自分らしく働ける場所は、必ずどこかにあるはず。
まずは、自分の得意や苦手を見つめ直すところから、一歩ずつ進んでいきましょう。
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