「辞退したら迷惑がかかるから」「もう決めたことだから」と自分に言い聞かせ、心のSOSを無視していませんか?実は、私もそうでした。
入社を決めた会社に違和感を抱きながらも辞退できず、結果、適応障害で働けなくなりました。
この記事では、入社直前の内定辞退に悩むあなたに向けて、「辞退してもいい」という視点と、後悔しない判断のためのヒントを、私自身の体験も交えながらお伝えします。
入社直前に内定辞退したくなるのは、あなただけじゃない
入社直前に不安が募り、内定辞退を考えるのはあなただけではありません。
まずは、軽く内定辞退について見ていきましょう。
- 不安・違和感を抱えるのは自然なこと
- 「辞退=無責任」という思い込みが、あなたを苦しめている
不安・違和感を抱えるのは自然なこと
「この会社で本当に大丈夫かな」と思うことは、何もおかしいことではありません。入社日が近づくにつれ、選択への不安が増すのはよくあることです。
むしろ、直前だからこそ冷静に考えられるという面もあります。仕事は人生の大きな部分を占めるもの。不安や違和感を感じるのは、真剣に向き合っている証拠です。
見て見ぬふりをするのではなく、その違和感の正体を丁寧に見つめてみましょう。
「辞退=無責任」という思い込みが、あなたを苦しめている
「こんな直前に辞退なんて失礼だ」「社会人として無責任かも」と自分を責めていませんか?
でも、それは本当でしょうか。
辞退することが誰かを傷つけることだと感じるかもしれませんが、一番傷つけているのは自分かもしれません。
社会や周囲の“常識”に縛られて、自分の心の声を無視してしまうことこそ、長期的にはリスクになります。今は、自分を守る選択をしてもいいのです。
私が辞退できなかった結果、適応障害になった話
実際に、私も内定辞退を検討した身です。しかも、無理をして就職した結果、最後は適応障害になって退職し、その後も苦しむことになりました。
ここでは、そんな私の体験談をご紹介します。
違和感を押し殺して入社した日々
私は当時、「出版社の編集職」と「メーカーの営業職」の2社から内定をいただいていました。そこで、最終的に選んだのは、憧れだった出版社の編集職です。
しかし、大学4年の秋から入社前インターンが始まると、その会社に違和感を覚えるようになりました。常にピリピリした空気で、社長からの叱責が飛び交う編集部。
いよいよ3月の入社直前になると、不安はピークに達し「内定辞退しようかな」と両親に相談したこともありました。しかし、「とりあえず働いてみた方がいい」という周囲の声に後押しされ、私自身も「せっかく叶った夢だから」と辞退に踏み切れず、最後には入社を決意しました。
不安が的中し、ストレスにさらされる日々
結論から言えば、私の不安は的中していました。その出版社は社長が絶対的な権限を握っており、社員にも容赦ないパワハラが横行している環境。
私も最初の頃は無難に仕事をこなしていましたが、新入社員ゆえ至らない点も多く、次第にパワハラの標的になるようになっていきました。
また、小規模の会社であったため、社長を含めほとんどの社員が同じフロアにいることから、常に緊張とストレスにさらされていました。
今思えば、ストレスからミスをして怒られる悪循環に陥っていたのだと思います。
心と体が限界を迎えたある朝
そしてある朝、突然起き上がれなくなりました。意味もなく涙が止まらず、体が鉛のように重たくなったのです。
そのとき初めて「自分はもう無理をしていたんだ」と気づきました。やっとのことで病院へ向かい、告げられたのは“適応障害”。
それまで「頑張れば乗り越えられる」と信じていた私は、ようやく自分の限界を認めることになりました。もっと早く、心の声を大切にしていれば──そう後悔しました。
「あのとき辞退していれば…」という後悔
あのとき、違和感に正直になれていたら。あのとき、勇気を出して辞退できていれば──。そう思うことは今でもあります。
もちろん、辞退するのは勇気がいります。でも、無理に入社して心身を壊してしまう方が、ずっと取り返しがつきません。
過去の私のように「迷惑をかけたくないから」と自分を犠牲にする人が、少しでも減ってほしい。だからこそこの記事を書いています。
入社直前でも、内定辞退はしていい
入社前に内定辞退できるとはいえ、本当に問題ないのか、何かトラブルにならないのかと不安に感じている人も多いでしょう。
ここからは、入社前に内定辞退してもいい理由について解説します。
- 法律的には辞退OK
- マナーを守ればトラブルになることはほとんどない
- 「辞める勇気」も立派なキャリア判断
法律的には辞退OK
民法627条第1項では、労働契約はいつでも解約できるとされています。つまり、入社日前であれば、たとえ直前でも法的には内定辞退が可能です。
内定は「労働契約の成立」と見なされますが、労働者には自由な契約解消の権利があります。実際、前日や当日に辞退を申し出る人も一定数います。
もちろん、早めに連絡する方が望ましいですが、「辞退=違法」ではないことは理解しておきましょう。
マナーを守ればトラブルになることはほとんどない
企業によっては「損害賠償」という言葉を使ってくることもありますが、実際に訴訟に発展するケースはほぼありません。
丁寧な連絡と誠実な言葉を心がければ、大きな問題にはなりにくいのです。「申し訳ありません」という気持ちを込めて、電話とメールで連絡すれば、常識の範囲内の対応とされます。
あなたが悪いわけではありません。必要なのは誠意であって、自己犠牲ではないのです。
「辞める勇気」も立派なキャリア判断
「続けること」ばかりが立派な選択ではありません。「やめること」だって、自分を守るための賢い判断です。
仕事は長い人生の中の一部にすぎません。スタートの時点で違和感があるなら、思い切って方向転換してもいい。
今のあなたの判断が、後の人生を守る選択になるかもしれません。辞めることを責めないでください。
迷っているあなたへ伝えたいこと
ここからは、私が迷っているあなたへ2つお伝えできればと思います。
- 罪悪感ではなく「未来の自分」で考えて
- どんな選択でも、あなたの価値が変わることはない
罪悪感ではなく「未来の自分」で考えて
「迷惑をかけたらどうしよう」と罪悪感に押しつぶされそうな人ほど、優しくて真面目な人です。
でも、未来のあなたが笑っていられる選択はどちらでしょうか?
一時的な人目よりも、これからの自分を大切にしてほしい。心が「やめたい」と言っているのに、その声を無視して入社してしまえば、あなたが苦しくなります。
未来の自分がどう感じるかを軸に、決断しても良いのです。
どんな選択でも、あなたの価値が変わることはない
内定を辞退しても、無職になっても、転職回数が増えても、あなたの価値が下がることはありません。
「社会的な評価」よりも、あなたがあなたらしく生きられる場所であることが大切です。仕事に自分を合わせるのではなく、自分に合う仕事を選んでいい。
辞退することは、逃げではなく“選び直し”。何度でもやり直せるし、あなたにはその権利があるのです。
まとめ|心の声を無視しないで。辞退しても、あなたは間違っていない
入社直前であっても、あなたには内定を辞退する権利があります。違和感を抱いたまま入社して、心や体を壊してしまう前に、自分を守る選択をしてもいい。
過去の私はそれができず、適応障害になりました。だからこそ、今あなたが少しでも「違うかも」と感じているなら、自分の気持ちを一番に大切にしてほしいと思います。
辞退は悪ではありません。あなたの人生を取り戻す、立派な一歩です。
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